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かつて話題となりました「白い巨塔」は、まさに医療過誤をめぐる民事裁判が中心を占めていましたね。

 

その裁判のシーンでよく出てきたのが、証人尋問です。

 

証人とは、過去に経験した事実を裁判所で供述するように命じられた第三者であり、日本の裁判権の及ぶ者であれば、すべて証人となる義務があります。

原告、被告が申し出ることによって証人となります。

 

証人尋問については、

・証人が正当な理由なく出頭しないときは、十万円以下の罰金又は拘留に処せられます。

・正当な理由なく出頭しない場合には、勾引を命じることができます。

・証人には、供述する義務、宣誓する義務があり、これに違反すると制裁があります。

 

【証言を拒絶できる場合】 

次の場合に限られています。

・証言することによって、証人または証人の配偶者が刑事告訴を受け、または有罪判決を受けるおそれがある事項に関するとき。

・証言が、証人または証人の配偶者の名誉を害すべき事項に関するとき。

・公務員が職務上の秘密について証言することについて、監督官庁の承認を得ていないとき。

・医者等の一定の職業にある者が職務上知り得た事実で黙秘すべきものについて、尋問を受けるとき。

・技術または職業の秘密に関する事項について、尋問を受けるとき

 

【証人尋問の方法】

・順番は、

1.証人尋問を申し出た原告方か被告方の主尋問

2.相手方の反対尋問

3.裁判所が補充的にする尋問

ですが、裁判所は適当と認めるときは、当事者の意見を聞いて、尋問の順番を変えることができます。

・場合によっては、裁判所外における証人尋問、テレビ電話会議システムの利用、書面尋問が認められることもあります。

令和4年5月18日、民事訴訟法等の一部を改正する法律が成立しました(同月25日公布)。これによって、条件を満たせば、民事裁判において住所、氏名等を隠すことができるようになりました。

 

たとえば、当事者等がDVや犯罪の被害者等である場合に、その住所、氏名等の情報を相手方に隠したまま民事訴訟手続を進めることができるようになったのです。

 

施行日は、令和5年(2023年)2月20日です。

 

訴状には、原告の住所・氏名を記載しなければなりませんし、申立書には申立てをする者の住所・氏名の記載が要求されます。

裁判所からの書類等を受け取るために、送達先(ex. 住所)の届出もしなければなりません。

 

現在の民事訴訟法では、誰でも訴訟記録の閲覧をすることができます。当事者に対して訴訟記録の閲覧を制限することを認める規定もありません。

 

性犯罪の被害者が、加害者に対し、自己の氏名等を知られることをおそれ、損害賠償を請求する訴えを躊躇するおそれがあるとの指摘があります。

 

審理の過程で、DV等の被害者の現在の住所が記載された書面等が提出されても、これを加害者に秘匿することができません。

 

 

民事訴訟法の改正による秘匿決定・閲覧等の制限の決定の制度

当事者等の住所・氏名等を訴状等に記載しないことなどが可能となります。

秘匿事項(当事者等の住所・氏名等)の閲覧等が制限できます。

 

 

秘匿決定の要件

住所又は氏名等が他の当事者に知られることによって、申立て等をする者又はその法定代理人が社会生活を営むのに著しい支障を生ずるおそれがある、次のようなケースであることが必要です。

 

1.住所等のみ秘匿

配偶者暴力(DV)の被害者と加害者間の訴訟(被害者の現在の住所が知られ、被害者の身体等への更なる加害行為、被害者を畏怖・困惑させる行為がされるおそれがあるケース)

 

2.住所・氏名等秘匿

性犯罪の被害者と、その被害者の氏名を元々知らない加害者間の訴訟(被害者の氏名等が加害者に知られると、二次的な被害が生じ、被害者の立ち直りに著しい困難が生ずるおそれがあるケース)

また、児童虐待やストーカー行為、反社会的勢力が問題となる訴訟などでも、秘匿決定が認められることがあります。

 

秘匿決定の審理

1.申立て

申立て等をする者又はその法定代理人が、秘匿決定の申立てをします。

申立てがないと、秘匿決定はされません。

 

2.秘匿事項の届出

申立てに際し、秘匿すべき事項(真の住所、氏名等)の内容を記載した書面の届出をします。

秘匿決定の判断が出るまでは、届出書面に対して、他の当事者の閲覧等は制限されます。

 

3.秘匿決定

要件を充たせば、秘匿決定がされます。秘匿決定では、秘匿される住所又は氏名につき

代替事項が定められます。

住所のみや、住所の一部のみの秘匿決定も可能です。

たとえば、●●県●●市(以下秘匿)などです。

 

 

秘匿決定の効果

1.秘匿決定において定めた住所又は氏名の代替事項を記載すれば、真の住所又は氏名の記載は不要です。

2.他の当事者等による秘匿事項届出書面の閲覧等は制限されます。

3.訴訟記録中の他の秘匿事項の記載部分の閲覧等の制限申立て・決定が可能となります

 

 

代替事項が記載された判決に基づく強制執行

自己の住所、氏名を秘匿したまま強制執行の申立てが可能となります。

例えば、原告の住所、氏名につき代替事項が記載されているケースでは、その代替事項を強制執行の申立書の債権者欄に記載することができます。

 

 

家事事件における秘匿決定の効果

・秘匿決定において定めた住所又は氏名の代替事項を記載すれば、真の住所又は氏名の記載は不要となります。

・他の当事者による秘匿事項届出書面の閲覧等は制限されます。

 

 

自分の住所、氏名等を、裁判資料から被告に知られることを懸念されていた方にとっては、とても望ましい改正です。

【解説】民事裁判で、沈黙していたり、欠席したら、大変なことになりますよ。

民事訴訟法において自白とは、どのような行為を言うのでしょうか?

 

刑事ドラマを見ていると、よく自白という言葉が出てきますが、

民事訴訟においては、自白とは、当事者が自己に不利な相手方の主張した事実を認めることをいいます。

そして、裁判での訴訟行為の中でなされるものを、裁判上の自白といいます。

 

裁判外で相手方または第三者に対してなされるものをさ、裁判外の自白といいます。

 

裁判上の自白は、自白された事実について証明を不要にする効力を有します。

 

民事訴訟法の条文では、以下のとおりとなっています。

(証明することを要しない事実)

第百七十九条 裁判所において当事者が自白した事実及び顕著な事実は、証明することを要しない。

 

なお、裁判外の自白は、間接事実として訴訟において利用されるだけです。

 

「口頭弁論における相手方の態度」

口頭弁論における一方の当事者の主張に対して、相手方当事者の態度としては、

1.その事実を認める=自白

2.その事実を認めない=否認

3.その事実は知らない=不知

4.その事実について何もはっきりとしたことを言わない=沈黙

があります。

 

1.の自白は、証拠による認定を必要としません。

2.の否認は、裁判所は証拠による認定をする必要があります。

 

問題は、3.の不知と4.の沈黙です。

3.の不知は、争ったものと推定されます。

4.の沈黙は、他の点から争うものと認められない限り、自白とみなされますので、注意が必要です。

 

そして、口頭弁鷺の訴訟が続行している期日において、当事者が欠席した場合は、相手方の主張を争わないものとみなされ、自白が成立したものとされます。

すなわち、続行期日における欠席は、出席して沈黙することと同様の結果になってしまうのです。

 

民事訴訟法の条文では、以下のとおりとなっています。

(自白の擬制)

第百五十九条 当事者が口頭弁論において相手方の主張した事実を争うことを明らかにしない場合には、その事実を自白したものとみなす。ただし、弁論の全趣旨により、その事実を争ったものと認めるべきときは、この限りでない。

2 相手方の主張した事実を知らない旨の陳述をした者は、その事実を争ったものと推定する。

3 第一項の規定は、当事者が口頭弁論の期日に出頭しない場合について準用する。ただし、その当事者が公示送達による呼出しを受けたものであるときは、この限りでない。

 

公示送達とは、名宛人の住居所が不明などの理由により書類の送達ができない場合に,一定期間裁判所の掲示板に掲示することにより送達の効果を生じさせる方法です。

 

なお、口頭弁論の最初の期日において、準備書面を提出している場合は、陳述したものと擬制されます。

 

 

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 当事者の間で紛争が発生した場合に、その解決の手段として和解があります。

 

和解は、当事者がお互いに譲歩しあって、話し合いによって解決する手段で、解決の態様、効果は、示談とほぼ同じです。

 

和解には、2つの種類があります。

 

1.訴え提起前の和解

当事者同士で話し合いの結果、合意できた内容を示談書あるいは和解契約書を作成します。しかし、これが守られなければ、結局、訴訟を起こさざるを得ません。

 

これを回避するためには、公証役場で公正証書を作成するか、「訴え提起前の和解」を利用する方法があります。

 

「訴え提起前の和解」とは、紛争の当事者が、相手方の住所地を管轄する簡易裁判所に申し立てをし、裁判官の面前において、お互いの主張を譲歩しあって争いを止めることを述べて、その内容を、強制執行力を持つ「和解調書」にしてもらう方法です。

 

2.訴訟上の和解

紛争が裁判にかけられている途上において、裁判官の和解の勧めか、当事者の和解の申入れに基づいて和解交渉をして和解するものです。

 

裁判官はどの段階であっても和解を勧めることができるとされています。また、訴訟の当事者は、どちらからでも、あるいは双方から、裁判官に和解の申入れができるとされています。

 

和解の期日が指定され、裁判所の和解室で、裁判官が双方の間に立って話し合いを行い、実際には交互に当事者の主張や意見を聞き、当事者の意見が出尽くしたと裁判官が判断すると、和解案が提案されます。当事者がこれに合意すれば、「和解調書」が作成されるのです。

 

「和解調書」は、訴訟における判決と同様の効力を持つのです。

 

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