刑法の懲役刑と禁固刑を一本化し、拘禁刑とする刑法改正案が、6月13日、参議院本会議で採決され、賛成多数で可決、成立しました。

 

懲役の受刑者に科されていた刑務作業が義務でなくなり、改善更生に向けた指導や教育に、多くの時間を充てることが可能になります。

 

また禁固刑になった人も、自ら刑務作業に従事するなど、懲役刑と禁固刑で実態が同じような状況であったことも、拘禁刑が成立した背景にあると考えられます。

 

改正案では、次のように規定されています。

【・拘禁刑は、刑事施設に拘置する。

・拘禁刑に処せられた者には、改善更生を図るため、必要な作業を行わせ、又は必要

な指導を行うことができる。】

 

現行の刑法では、

(懲役)

第十二条 懲役は、無期及び有期とし、有期懲役は、一月以上二十年以下とする。

 懲役は、刑事施設に拘置して所定の作業を行わせる。

 

(禁錮)

第十三条 禁錮は、無期及び有期とし、有期禁錮は、一月以上二十年以下とする。

 禁錮は、刑事施設に拘置する。

と定められています。

 

すなわち、

身柄の拘束を伴う刑のうち、刑務作業が義務づけられているものが「懲役」

義務づけられていないものが「禁錮」です。しかし、本人が希望すれば、作業を行う人もいるとのことです。

 

「拘禁刑」では、受刑者の特性に応じて、刑務作業のほか、再犯防止に向けた指導や教育プログラムなどを実施できるとしています。受刑者に被害者の心情を伝えて理解を促す制度も創設されるようです。

 

施行は、交付から3年以内です。

 

刑罰の種類の変更は、1907年の刑法制定以降、初めてです。