■著作物等の「例外的な無断利用」ができる場合

著作物等の「例外的な無断利用」ができる場合は、以下があげられます。

 ・「私的利用」、「付随対象著作物の利用」等

・「教育」関係

・「福祉」関係

・「報道」関係等

・「立法」「司法」「行政」関係

・「非営利・無料」の場合の「上演」「演奏」「上映」「口述」「貸与」等関係

・「引用」「転載」関係

・「美術品」「写真」「建築」関係

・「コンピュータ・ネットワーク」関係
・「放送局」「有線放送局」関係


 この中で、今回は、「引用」について取り上げます。

 

著作権法では、32条1項で、

「公表された著作物は、引用して利用することができる。

この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。」とされています。

 

従来の判例では、

1.引用して利用する側の著作権と、引用されて利用される側の著作権が明瞭に区別して認識できること

 

2.両著作物間に、前者が主、後者が従の関係があると認められること

 

が必要であるとされていましたが、

 

今の判例では、

1.引用であること

 

2.公正な慣行に合致すること

 

3.引用の目的上正当な範囲内であること

 

が必要とされています。

 

それでは、判例で、引用が認められなかった例をあげてみます。

 

1.本件被告のホームページが専ら甲の社会活動を批判する内容を記載したホームページであった

 

2.甲の容姿を写した写真を殊更滑稽な姿に改変して掲載。改変の程度が大きく、かつ甲への侮蔑的内容を含んだものであった。

(写真の上下に、「西洋かぶれの出来損ない!(笑)」、「名誉も地位も要りません。そのような人間は世界に一人ぐらいいてもいいでしょう。(D博士との対談から)」と記載)

 

これに対して、裁判では、複製権、公衆送信権、同一性保持権を侵害したものを判決され、損害賠償額40万円となっています。

 

引用するには、十分な注意が必要です。