■尿管結石にならないための食事療法とは?
尿管結石にならないためには、どのような食事療法を取ればいいいでしょうか。
(1) 動物性脂肪中心の食生活を改めること
尿管結石のほとんどはシュウ酸カルシウムと言われています。
かつては、シュウ酸カルシウムの元凶は、動物性たんぱく質と言われていました。カルシウムの尿中への排泄が増加する一方、結石を防ぐ働きがあるクエン酸が減るからです。
しかし最近では、動物性脂肪のほうが、より一層、結石を形成することがわかってきたそうです。
脂肪は体内で分解されて脂肪酸となり、腸に到達し、カルシウムと結合して外に排泄されます。そうすると腸内でカルシウムと結合されるはすだったシュウ酸が余ってしまい、これが尿中に排泄されてカルシウムと結びつき、シュウ酸カルシウムとなるのです。
肉の脂身は取り除く、牛肉や豚肉は赤身のモモ肉やヒレ肉を、鶏肉はモモ肉よりムネ肉を、揚げ物はやめてゆでたり蒸したり焼いたりして脂肪を落とす、すき焼きよりはしゃぶしゃぶにするなど、食べ方や調理法を工夫すべきです。
(2) 水分をしっかりととること
たっぷりと水分をとり、尿量を増やすと、結石ができにくくなります。不要なものは、尿とともに排泄されます。
さまざまな研究によって、一日の尿量が2リットル以上では、結石の形成されるリスクはかなり低減できると言われています。ただし、糖分が多く含まれている清涼飲料水やジュースは要注意で、砂糖の過剰摂取は尿中へのカルシウムの排泄を増やします。
水分は、水道水やミネラルウォーター、麦茶、ほうじ茶がいいです。
(3) シュウ酸を多く含む食品をとらない
シュウ酸は、ホウレンソウやキャベツ、ブロッコリー、レタス、サイマイモ、ナスなどに多く含まれています。
特にホウレンソウは、100g中に800mgもシュウ酸が含まれており、キャベツなどの300mgの倍以上です。特に注意が必要です。
どうしてもホウレンソウを食べたいときは、ゆでておひたしにすると、シュウ酸の量は半分になります。
また、カルシウムと一緒にとると、腸管内でシュウ酸とカルシウムが結合し外に排泄されるので、尿中へのシュウ酸の排泄を抑えられます。
ホウレンソウに、カルシウムが豊富なカツオブシやちりめんじゃこをかけて食べるといいでしょう。
(4) 塩分・糖分は控えめにする
塩分を過剰摂取すると、尿中へのナトリウムの排泄量が増えるだけでなく、カルシウムの排泄量も増加します。
さらに、塩には尿中のクエン酸量を減少させる作用もあるといわれ、いっそう結石を招きやすくなっています。
また、砂糖の過剰摂取は血液を酸性にするため、それを中和するために骨のカルシウムが溶け出し、尿中へのカルシウムの排泄が増えます。
(5) カルシウムは適度にとる
かつては、結石を予防するために、カルシウムの摂取制限が推奨されていましたが、今は積極的にとるべき栄養素と考えられています。
さまざまな研究によって、尿管結石の患者は、健常者に比べて、カルシウムの摂取量が少ないことがわかってきたのです。
それは、カルシムが少なくなると、骨が溶け出して、必要以上のカルシウムが放出されてしまうからです。
カルシウムの吸収率が高く、手軽にとれるのは乳製品です。一日に必要なカルシウムは600ミリグラムと言われていますが、牛乳1本で、約200ミリグラム摂取できます。
ただし、脂肪は危険因子ですから、低脂肪の牛乳や乳製品がいいです。