昨今、現行犯逮捕が話題になっています。それでは、現行犯の対象となる現行犯人とは、どういう者をいうのでしょうか。
現行犯人とは、現に罪を行っている者、または罪を行い終わった者です。
現行犯人は、犯罪の実行行為を現在行っている者だけでなく、犯罪の実行行為を終了した者も含まれます。
また、準現行犯人も、現行犯人とみなされます。現行を直接目撃したわけではないけれども、周囲の状況から推測して、犯人に間違いないと考えられる者です。
準現行犯人として、生々しい痕跡が残り、今まさに犯行が行われたといえる状況下にあることが必要です。
それについては、刑事訴訟法に、次のように規定されています。
1.犯人として追呼されているとき。
「泥棒、待ちやがれ」と言われながら、逃げているときなどです。
2.贓物(ぞうぶつ。犯罪によって得た物)又は明らかに犯罪の用に供したと思われる兇器その他の物を所持しているとき。
盗品を持っているときや、血の付いたナイフをもっているときなどです。
3.身体又は被服に犯罪の顕著な証跡があるとき。
服に返り血などが付いているときなどです。
4.誰何(すいか)されて逃走しようとするとき。
警察官に「こんな夜中に何をやっている?」と言われて、逃げ出したような場合です。
現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができます。
これは、犯人が犯行を行っている場合には、直ちにこれをやめさせるため。また、警察官の到着を待っていたら犯人を取り逃してしまうからです。
ただし、検察官、検察事務官及び警察職員以外の者は、現行犯人を逮捕したときは、直ちにこれを地方検察庁若しくは区検察庁の検察官又は警察職員に引き渡さなければなりません。
また、30万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、2万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪の現行犯については、犯人の住居若しくは氏名が明らかでない場合又は犯人が逃亡するおそれがある場合に限り、現行犯の規定が適用されます。