■熟年離婚について:離婚時の年金分割などはどうなるか?

 

離婚したときの、その後の生活資金をどうするかは、とっても大切ですね。

 

特に、熟年離婚となった場合、老後の生活設計をどうするかは、離婚するかどうかの重要な判断材料です。

 

子供も独立していれば、養育費はもらえません。

 

それまでの夫婦の共同財産の財産分与はどうでしょう。

家があっとしても、ローンが残っている場合は、その分を差し引いた残りの部分の半分になります。

 

貯金があったとしても、借金を差し引いた残りの部分の半分です。

あとは年金しかありません。

 

あなたは、離婚したときに、相手側が受け取る厚生年金の分割で、どの程度もらえるかご存じですか。

半分をもらえると思っていたら、大きな間違いです。

 

あくまで対象となるのは、婚姻中の期間に相当する部分だけです。

 

法律的には、婚姻中に納めた厚生年金の保険料を、夫婦共同で納めたものとみなして、離婚した場合には、結婚した期間に相当する分の老齢厚生年金を、夫婦で分割することとなっています。

 

分割のいう対象には、老齢基礎年金(国民年金)は含まれません。

 

したがって、婚姻期間中の収入の多い人が、少ない人に対して、一部をあげるという方法になります。

 

決して、半分をまるまるもらえることにはなりません。

 

また、この年金分割制度がスタートしたのは、平成19年4月からですので、

この制度が施行される以前は、財産分与の対象になるとする判例もありますが、否定した判例もあり、裁判所の判断は分かれていました。

 

従いまして、平成20年3月までの婚姻期間に対応する年金分割は、話し合いにより解決することとなっています。

 

話し合いがつかないときは、家庭裁判所が決めることとなります。

 

平成20年4月以降は、自動的に半分になります。

 

たとえば、結婚したのが、夫が35歳のときだったとすれば、60歳で離婚した場合は、60歳-35歳=25年分のみが対象となり、夫の35歳ー20歳=15年分は対象とならないということです。

 

なお、分割請求の手続きは、離婚成立後2年以内に行わなければならないので、注意が必要です。

 

一方、慰謝料の方は。基本となる額はありません。300万円から400万円が、日本の財産分与、慰謝料の平均と言われています。

 

このように、実務上は、慰謝料と財産分与は併せて処理されることが多いようです。

 

なお、慰謝料の請求権は3年以内です。

 

離婚後に生活も困るというはめに陥った場合は、福祉事務所に保護申請書がありますので、必要事項を書き込んで提出します。

 

また、地域には民生委員がいて相談にのってくれますし、福祉事務所でも相談にのってくれます。

 

保護の内容は、生活保護、教育扶助、住宅扶助、医療扶助などです。

 

なお、利用するに当たっては、所得制限、受給資格などの問題もありますので、福祉事務所や市町村の福祉課で相談してください。

 

熟年離婚のポイントをまとめると、

 

・熟年離婚では、長い婚姻生活の清算が必要で、簡単にはいきません。

 

・離婚時年金分割があることも頭に入れておきましょう。ただし、単純に半分にはなりません。

 

・離婚後の生活設計をどうするかを考えましょう。

・熟年夫婦の離婚は、悲惨な結果となる場合もあるので対策は万全にしましょう。