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刑法では、次のように規定されています。

 

(業務上横領)

第二百五十三条 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の懲役に処する。

 

業務上横領罪とは、自分が占有する他人の物を横領する単純横領罪の刑を重くしたものです。単純横領罪が5年以下の懲役に対して、業務上横領罪は10年以下の懲役になります。この刑は、罰金刑がありませんので、有罪となれば、懲役は免れません。

 

(横領)

第二百五十二条 自己の占有する他人の物を横領した者は、五年以下の懲役に処する。

 

業務上となっていますが、業務とは、金銭その他の財物の委託を受けて保管する内容の職業または職務をいいます。

単に、仕事ということではなく、反復・継続しておこなわれる行為を指しています。

たとえば、銀行、質屋、倉庫業者、運送業者、銀行などです。

 

業務と連携して保管、占有する他人の物を横領する行為が対象となります。

令和4年12月10日、民法の嫡出推定制度の見直し等を内容とする民法等の一部を改正する法律が成立し、同月16日に公布されました。

この法律は、同日から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行されます。

 

嫡出推定制度の見直しのポイントは、以下のとおりです。

 


1.女性の再婚禁止期間を廃止しました。

現在の民法では、前婚の解消又は取消しの日から起算して100日を経過した後でなければ、再婚をすることができないのです。(民法733条)

 

2.婚姻の解消等の日から300日以内に子が生まれた場合であっても、母が前夫以外の男性と再婚した後に生まれた子は、再婚後の夫の子と推定することとしました。

 

3.これまでは夫のみに認められていた嫡出否認権を、子及び母にも認めました。

 

4.嫡出否認の訴えの出訴期間を1年から3年に伸長しました。

 

嫡出推定制度に関する改正後の規定は、原則として、本法律の施行日以後に生まれる子に適用されますが、

この法律の施行日前に生まれた方やその母も、本法律の施行の日から1年間に限り、嫡出否認の訴えを提起して、血縁上の父ではない者が子の父と推定されている状態を解消することが可能となっています。

 

令和4年5月18日、民事訴訟法等の一部を改正する法律が成立しました(同月25日公布)。これによって、条件を満たせば、民事裁判において住所、氏名等を隠すことができるようになりました。

 

たとえば、当事者等がDVや犯罪の被害者等である場合に、その住所、氏名等の情報を相手方に隠したまま民事訴訟手続を進めることができるようになったのです。

 

施行日は、令和5年(2023年)2月20日です。

 

訴状には、原告の住所・氏名を記載しなければなりませんし、申立書には申立てをする者の住所・氏名の記載が要求されます。

裁判所からの書類等を受け取るために、送達先(ex. 住所)の届出もしなければなりません。

 

現在の民事訴訟法では、誰でも訴訟記録の閲覧をすることができます。当事者に対して訴訟記録の閲覧を制限することを認める規定もありません。

 

性犯罪の被害者が、加害者に対し、自己の氏名等を知られることをおそれ、損害賠償を請求する訴えを躊躇するおそれがあるとの指摘があります。

 

審理の過程で、DV等の被害者の現在の住所が記載された書面等が提出されても、これを加害者に秘匿することができません。

 

 

民事訴訟法の改正による秘匿決定・閲覧等の制限の決定の制度

当事者等の住所・氏名等を訴状等に記載しないことなどが可能となります。

秘匿事項(当事者等の住所・氏名等)の閲覧等が制限できます。

 

 

秘匿決定の要件

住所又は氏名等が他の当事者に知られることによって、申立て等をする者又はその法定代理人が社会生活を営むのに著しい支障を生ずるおそれがある、次のようなケースであることが必要です。

 

1.住所等のみ秘匿

配偶者暴力(DV)の被害者と加害者間の訴訟(被害者の現在の住所が知られ、被害者の身体等への更なる加害行為、被害者を畏怖・困惑させる行為がされるおそれがあるケース)

 

2.住所・氏名等秘匿

性犯罪の被害者と、その被害者の氏名を元々知らない加害者間の訴訟(被害者の氏名等が加害者に知られると、二次的な被害が生じ、被害者の立ち直りに著しい困難が生ずるおそれがあるケース)

また、児童虐待やストーカー行為、反社会的勢力が問題となる訴訟などでも、秘匿決定が認められることがあります。

 

秘匿決定の審理

1.申立て

申立て等をする者又はその法定代理人が、秘匿決定の申立てをします。

申立てがないと、秘匿決定はされません。

 

2.秘匿事項の届出

申立てに際し、秘匿すべき事項(真の住所、氏名等)の内容を記載した書面の届出をします。

秘匿決定の判断が出るまでは、届出書面に対して、他の当事者の閲覧等は制限されます。

 

3.秘匿決定

要件を充たせば、秘匿決定がされます。秘匿決定では、秘匿される住所又は氏名につき

代替事項が定められます。

住所のみや、住所の一部のみの秘匿決定も可能です。

たとえば、●●県●●市(以下秘匿)などです。

 

 

秘匿決定の効果

1.秘匿決定において定めた住所又は氏名の代替事項を記載すれば、真の住所又は氏名の記載は不要です。

2.他の当事者等による秘匿事項届出書面の閲覧等は制限されます。

3.訴訟記録中の他の秘匿事項の記載部分の閲覧等の制限申立て・決定が可能となります

 

 

代替事項が記載された判決に基づく強制執行

自己の住所、氏名を秘匿したまま強制執行の申立てが可能となります。

例えば、原告の住所、氏名につき代替事項が記載されているケースでは、その代替事項を強制執行の申立書の債権者欄に記載することができます。

 

 

家事事件における秘匿決定の効果

・秘匿決定において定めた住所又は氏名の代替事項を記載すれば、真の住所又は氏名の記載は不要となります。

・他の当事者による秘匿事項届出書面の閲覧等は制限されます。

 

 

自分の住所、氏名等を、裁判資料から被告に知られることを懸念されていた方にとっては、とても望ましい改正です。

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